キジ鳩夫妻のお別れの日。里山の暮らしと野生の命。

2021年1月22日出雲で里山暮らし

我家の庭には、キジバトの夫婦が住み着いています。

どんぐりを啄んだり木々を飛び回ったり、いつも夫婦仲良く過ごす姿をよく見かけて、微笑ましい気持ちでいました。

逃げないキジバト

うずくまるキジバト
うずくまるキジバト

ところがある朝。

雨が降る中、窓のそばにぽつんとキジバトがうずくまっていました。

はじめはうっかり眠っているのかと思い、すぐ逃げるだろうと見ていたら一向に動きません。

そういえば以前も鳥が窓にぶつかり脳震盪?を起こして動かなくなっていたことがありました。

今回も運悪く窓にぶつかって気絶したのかな?と思い、そのままそっとしておくことにしました。

それでも、一向に動かない鳩を見ていると、流石に心配になってきました。

ふと庭木を見ると遠巻きにキジバトの片割れがうずくまった鳩をみて鳴いていました。心配なのかもしれません。

外は雨で気温も低いです。

野生の生き物に近づくのは強いストレスを与えてしまうはずなので普段は控えていますが、

すこし具合を見てみることにしました。

少しでも近づきすぎると決死のおもいで逃げようとするので、少しずつ少しずつ近づいていき段階を見て様子を確かめていったのですが、翼と足だけでなく体全体にかなりのダメージが有り回復に時間がかかるようでした。

野生の命

ダンボールに入ったキジバト
ダンボールに入ったキジバト

弱っている中で心苦しいですが、雨の中よりはと思いオッカナビックリな鳩を慎重にダンボールに入れ軒下に移してお湯を入れたビニールで保温を試みました。

その後あたりをキョロキョロ見回していましたが、しばらくして落ち着いたのか、まぶたを閉じ体を小さくしていました。

お湯を変えに様子を見に行くと、体を横たえ呼吸が早くなっていました。

そこで、この鳩がもう助からないのかもしれないことを悟りました。

庭のもみじの木
庭のもみじの木

その鳩を側で一緒に心配していた子供と、我家の庭で過ごしてくれて可愛い姿をみせてくれて、ありがとう。とお別れを鳩に言いました。

人間が近くにいる恐怖の中で苦しませるのはあんまりなので、それから家に入って子供と過ごしていました。

しばらくして、ふとなんとなく鳩が逝ってしまったような気がして子供と外へ出てみると、硬直して既に息絶えていました。

森へ続く庭の小道
森へ続く庭の小道

子供が、庭に鳩のお墓を作る!と言ってくれました。

ですがその時、身じろぐことも辛いはずのキジバトが何度も森の方へ必死に逃げようとしていた姿が思い出されました。

寒さの中で自然に終えようとしていたかもしれない小さな命に安易に介入してしまったのではないか、キジバトにとっては苦痛だったろうことを思うと、後悔の念が溢れました。

これ以上不自然に人の手を入れるよりも、自然の形で弔ってあげようということになりました。

なので、いつも飛んでいた木の根方の草陰にそっと横たえておきました。

他の動物の冬越しに、キジバトの命が巡っていけばいいなと思います。

などと書きつつ、オオスズメバチを大量殺戮したりもしているわたしたち。業を感じます。

自然と暮らしとキジバト家族

窓の様子
窓の様子

残念な気持ちのまま家に帰ると、子供が「見て!ハト!」と窓を指します。

見てみると明らかに鳩が窓に打つかった跡がはっきり残っていました。羽が取れるほど強い衝突だったようです。やはり我が家の窓が原因で死なせてしまったことが分かりました。

里山に引っ越してきてとても楽しい毎日ですが、この出来事があってからあらためて山の中にお邪魔させてもらっているのだから、横柄にならず出来るだけ自然を邪魔しない形で暮らしていけたらと思うようになりました。

その後、片割れをなくしたもう片方のキジバトはしばらく庭を一羽で過ごしていました。

それを見るたび申し訳無さで胸が傷んだのですが、ほどなくして5羽ほどの小鳩と一緒に庭をにぎやかに飛び回っているのを見るようになりました。

小さな命がしっかりと巡っていることに少し救われる思いがしました。