山陰のあじさい寺『月照寺』。石の大亀に長久祈願し、抹茶と和菓子の味わいに不昧公を偲ぶ。

2020年6月5日出雲のスポット

松江市民ならば誰もが知っている月照寺は、山陰の紫陽花寺とも呼ばれている名所のひとつです。

不昧公として親しまれている松江藩七代藩主松平治郷公をはじめ、歴代松江藩主の菩提寺となっています。

また、墓所と廟門がほぼ当時のまま残っていることから歴史的価値が高く、史跡に指定されています。

例年6月中旬頃になると、3万本以上とも言われている境内の紫陽花が見頃を迎えます。

その年の気候にもよりますが、7月中旬頃までであれば十分に紫陽花を愛でることができます。

雨が降っているとなかなかお散歩という気分になりませんが、雨に濡れる紫陽花は晴れの日のそれとはまた異なった風情があり、別格の美しさです。

梅雨の季節のお散歩に、月照寺を訪れてみてはいかがでしょうか。

月照寺の歩き方

まず駐車場で車を降り、少し歩いて入り口を目指してください。

月照寺は通りから少し奥に入った場所に位置しているため、境内へ向かう道から既にひっそりとしています。

周囲が木々や竹林に囲まれているためか、はたまたお寺であるためか、世間から隔絶されたような密やかな雰囲気が感じられます。

【月照寺入り口】
【月照寺入り口】

途中、茶を愛した不昧公が茶を立てる際に愛用したという湧水で手を洗いましょう。

生水を飲むことはできませんが、境内にある茶室ではこの湧水で立てた抹茶を味わうことができます。

月照寺【不昧公愛用の茶湯の水】
月照寺【不昧公愛用の茶湯の水】

湧水の向かいには、不昧公お抱え力士であった雷電の碑が建てられています。

唐門をくぐれば、参道の両脇には額紫陽花や西洋紫陽花などがずらりと並んでいます。

順路の案内に従って、境内をゆっくり楽しみましょう。

廟門をチェック

境内には、松江藩初代松平直政公から九代齋貴公までの墓である廟所が点在しています。

順路通りに進むと、まず初代直政公の廟が出迎えてくれます。

廟門を抜けると蓮の池があり、両側には紫陽花と灯篭が並んでいます。

竹の葉のこすれる音と、その風景が溶け合ってなんとも風情のある景色です。

廟はお墓なので、まずはしっかりとお参りをしてください。

その上で注目して欲しいのは、廟の前にある廟門です。

月照寺【松江藩初代松平直政公廟門】
月照寺【松江藩初代松平直政公廟門】

これは『松江藩初代松平直政公廟門』。

門そのものも、桃山時代の技術を使って作られた素晴らしいものですが、面白いのは施された彫刻です。

こちらの初代直政公の廟門には、正面に竹と虎の彫刻がなされています。

直政公は徳川家康公の孫であり、大坂冬の陣に14歳で出陣し、その勇敢な戦いぶりから真田幸村に賞賛されたと言われています。

日本では古来より虎は戦いのシンボルです。

そう言った逸話から、虎が彫られているのでしょうか。

猫のような丸いフォルムの虎には、若干の親しみも感じてしまいますね。

隣の七代藩主不昧公の廟からは、松江城を臨むことができます。

こちらの廟門で注目したいのは、不昧公の好物だったぶどうの透かし彫りです。

月照寺【松江藩七代藩主不昧公廟門のぶどうの透かし彫り】
月照寺【松江藩七代藩主不昧公廟門のぶどうの透かし彫り】

不昧公お抱えの名工であった小林如泥の作品とも言われており、ぶどうの他にも中央の龍の細工もとても見事です。

初代直政公と七代不昧公の廟門は、特に島根県の有形文化財にも指定されています。

これらをはじめ9代藩主全ての廟門には、それぞれの時代の名人が細工を施し、時代を反映した技法が使われています。

各代の藩主に因んだものが細工してあることも多いので、見つけるのも楽しいですよ。

大亀伝説と境内の自然

月照寺と言えば、石の大亀を思い浮かべる方も多いでしょう。

この大亀形の台座の碑は、六代藩主宗衍公の廟所に設置されています。

月照寺【松江藩六代藩主宗衍公廟所内の大亀の石碑】
月照寺【松江藩六代藩主宗衍公廟所内の大亀の石碑】

この大亀は、小泉八雲の随筆に怪談として登場しています。

大亀が夜になると動き出し暴れて人を食うようになったが、住職が石碑を背中に背負わせることによって封じたというエピソードです。

大亀は「母岩恋し、久多見恋し」と言って暴れたそうですが、これは石碑に使われた石が出雲市久多見町の久多見石であることに由来しています。

しかし、実際はそのような不気味な由来を持つ石碑ではありません。

不昧公が父である宗衍公の寿命長久を祈願するために建立したものであり、亀の頭を撫でると長生きができるとも言われています。

亀は大きいので、背伸びをして是非頭へと手を伸ばしてみてください。

また、紫陽花だけでなく、季節折々でツツジや菖蒲、蓮池の花や紅葉も目を楽しませてくれます。

周囲の木々が日差しを遮ってくれるので夏でも涼しく、石畳の木漏れ日や鳥の声を楽しむことができます。

紫陽花が有名なお寺ではありますが、梅雨の時期に限らず、お散歩や散策におすすめです。

月照寺【蓮池の花】
月照寺【蓮池の花】

書院や宝物殿も併設されており、散逸するのを防ぐために集められた不昧公お気に入りの茶器や、藩主にゆかりのある刀剣や書などが展示されています。

枯山水の庭園を眺めながら、抹茶と和菓子を味わうこともできますよ。

(※)2020年はお茶の提供は休止しているとのことです

紫陽花の咲き誇る月照寺

月照寺【紫陽花の咲き誇る】
月照寺【紫陽花の咲き誇る】

6月の紫陽花の咲く時期は山陰の紫陽花寺として美しい姿を見せてくれます。

月照寺【紫陽花の咲くなかハイキング気分】
月照寺【紫陽花の咲くなかハイキング気分】

境内もとても広いのでちょっとしたハイキング気分で回れます。

月照寺【色とりどりのあじさい】

色とりどりの美しい紫陽花についつい足を止め見入ってしまいます。

曇り模様の多い山陰の天候に紫陽花はよく似合います。

アクセス・駐車場

松江駅からは車で10分ほどの、閑静な立地です。

バスなどのアクセスも良いので、自家用車以外で訪れる場合も便利です。

駐車場の台数は十分ですが、紫陽花のシーズンはやや混み合うため、時間帯をずらすことをおすすめします。

詳細は公式サイトで確認してみてください。

苔むした石畳を歩き、竹林から流れてくる涼やかな風と空気を吸い込んでいると時間が経つのを忘れてしまいそうです。

松江市立第一中学校がすぐ近くにあるため、チャイムの音が時折混じり、ふと現代に意識が引き戻されます。

そんな不思議な感覚を味わいに、是非訪れてみてください。

→ 月照寺公式サイト