万年筆ユーザーの聖地『中屋万年筆店』と文具の宝箱『パピロ21』書くことの楽しみや、書くという行為への愛着を、いつまでも大切に。
松江には全国の万年筆ユーザー垂涎の文具店が2店舗もあるということを、ご存知ですか？
決してユーザーは多くはないけれど廃れることのない万年筆という筆記具は、文房具好きが一度は憧れる一品です。
そんな万年筆をたっぷり楽しめる2店舗を紹介します。
万年筆を愛し、愛される『中屋万年筆店』
松江市天神町には、万年筆愛好家に伝説と言われる万年筆店があります。
こちらがその『中屋万年筆店』です。
伝説と言われる由縁は、『中屋万年筆店』の二代目店主・久保さんの万年筆調整技術の素晴らしさにあります。
国立歴史民族博物館「筆記の近代誌～万年筆をめぐる人びと～」の列伝編に選ばれ映像出演するほどで、今の日本で一、二を争う職人です。
万年筆というものは、購入して終わりではありません。
使い手には万年筆の書き味に好みがあり、使い続けるうちに書き味が変化してしまうため、都度調整や修繕が必要なのです。
使い手の筆圧や書き方によって、ペン先の開き具合や細さ・硬さを加減し、書き味やインクの出具合を好みに整えることが「調整」です。
しかしこの「調整」が難しく、繊細な調整が可能な職人はわずかしか存在しません。
そのわずかな職人のうちの一人が、久保さんです。
販売元のメーカーが匙を投げた調整や修繕も、こちらの久保さんならば可能です。
久保さんの手によって「調整」されることは、万年筆愛好家の憧れです。
そのために、わざわざ全国から、あるいは海外から来店するファンもいるほどです。
久保さんは大正14年生まれのご高齢なので、いつも店頭にいらっしゃるわけではありませんが、出て来られる時はパリッとジャケットをお召しで、非常にダンディです。
久保さんの技術や経験だけでなく、万年筆に対する知識の深さもまた店の宝のひとつと言えます。
プラチナやパイロットなど、有名メーカーの貴重な裏話も聞くことができますよ。
店主の久保さん及びこの『中屋万年筆店』のファンは非常に熱量があり、この店のディスプレイなどはファン有志の手によるものも少なくありません。
久保さんの熟練の万年筆調整技術は、万年筆への愛によるものです。
万年筆を愛している店主だからこそ、万年筆を愛しているファンが集まるのですね。
店頭に並ぶ万年筆も、有名メーカーのものが揃っており壮観です。
なかなか流通していないデッドストックが眠っている可能性もあり、廃盤目当てで来店する万年筆ファンもいます。
こちらの『中屋万年筆店』で万年筆を購入したり修理を依頼すると、まずは書き心地や状態を丁寧にカウンセリングしてくれます。
一生物の一本を、久保さんの調整とともに求めてみてはいかがでしょうか。
使うたびワクワクする文具が揃う『パピロ21』
続いて紹介する『パピロ21』は、
松江の老舗文具卸売店「株式会社はらぶん」が展開している文具のセレクトショップです。
白潟本町の天神商店街の中に店舗があります。
こちらの『パピロ21』も、オーナーが万年筆愛好家ということもあり、万年筆関連商品が豊富です。
定番万年筆やインクのほか、希少なヴィンテージ万年筆や限定アイテムもあります。
パイロット社の創業記念万年筆など、ミュージアム的位置付けで展示されている非売品万年筆もありますが、そういった貴重な品を目にできるだけでもわくわくしてしまいますね。
ヴィンテージ万年筆の中で、購入できるものももちろんあります。
中古品ではなく、非常に保存状態の良い新品です。
貴重なデッドストック、メーカーにはない廃盤万年筆が眠っている可能性がありますので、コレクターの方は必見です。
こちらの『パピロ21』で、お宝万年筆をごっそり買い込んだというコレクターの逸話もあります。
山陰ならではの八雲塗りの万年筆や安価で日常使いできるオシャレな万年筆、定番ブランドの一生物の万年筆、そして万年筆に合わせるインクなど、品揃えも実に多彩です。
店内に、試し書きをするための書斎コーナーが設けてあるのも嬉しいポイントですね。
万年筆だけではなく、見ていて楽しい文具や小物も豊富です。
アメリカ製地球儀、イギリス発祥のヴァイキングフルース紙の皮表紙ノート、イタリアのガラスペンなど、世界の文具もあるので旅をしているような気分になれます。
便箋や手帳、画材や書道道具、定番のペンやノート、シャレの効いた柄のブックカバーやマスキングテープ、付箋紙など、棚いっぱいに文具が並んでいる様は、まるで宝箱のようです。
ペーパーレス化が進んでも、筆記具の魅力や「書く」という行為の意味合いは色あせません。
お気に入りのデザインで、自分好みの書きやすい万年筆が一本あれば、いつまでも手入れをしながら使い続けることができます。
インクを季節や好みで変えたり、手入れをするのも楽しいものです。
書くことの楽しみや、書くという行為への愛着を、いつまでも大切にしたいと改めて感じます。
アクセス・駐車場など
中屋万年筆店は、松江駅から徒歩10分程度の、白潟天満宮のすぐ近くに位置しています。
専用駐車場はありませんので、近くの有料駐車場を利用しましょう。
パピロ21は、天神商店街の山陰合同銀行本店ビルの隣にあるため、とても分かりやすいです。
駐車場は、店舗南側に2台分のスペースが設けてあります。
- 中屋万年筆店
- （株）はらぶん+パピロ２１
https://izumodekurasu.com/2020/05/31/matsue-suetugu/
