路地裏の秘密の古本屋『冬榮舎』。ガリガリコーヒー片手に不思議な居心地の良さを堪能。

出雲のスポット

松江市西茶町の路地裏にひっそりとある『冬榮舎(とうえいしゃ)』という古本屋。

冬ごもりという意味を持つその店は、まるで物語に出てくるような非日常に満ちています。

非日常を見つけに行こう

大通りから少し奥に入っただけなのに不思議と静かで、日常のしがらみや生活感からかけ離れた雰囲気に浸ることができるのです。

古本屋ではありますが、そこで取り扱っているのは「古本」だけではありません。

そんな多くの概念を内包した不思議な古本屋『冬榮舎』に行ってきました。

古本屋『冬榮舎』
古本屋『冬榮舎』

カラコロ工房や松江市役所などに周囲を囲まれた西茶町は、京橋川と末次公園に挟まれた穏やかな昔ながらの街並みの残るエリアです。

その細い路地を覗くと、そっと自己主張するキュートな看板を発見できます。

気をつけていなければ見落としてしまいそうですね。

古本屋『冬榮舎』外観
古本屋『冬榮舎』外観

これが、古本屋『冬榮舎』です。

初めて入る時は、この静かな雰囲気に立ち入っても良いものか不安かもしれませんが、安心してください。戸を引くと、穏やかな店主が笑顔で迎えてくれますよ。

冬榮舎の店主は数年前に広島からIターンしてきた方です。松江の冬が好きで、ずっと松江に住みたいと考えていたことから、自然と松江に住むようになったそうです。

「食と暮らしの本」を中心に

小ぢんまりとした店内には、白い壁に沿ってぐるりと本が並べられています。通りに面した大きな窓から光がたくさん入ってくるので、閉塞感は全くありません。

壁際にある大きな本棚には、この古本屋のメインである食に関するエッセイや暮らしに関する本が置かれていました。

コーヒーやお酒、お肉やお惣菜、おやつまで、様々な題材の本があり、目移りしてしまいそうです。バーコードのない古い本から、最近のライトなエッセイまで、様々な本が誰かに読まれるのを待っています。

宝探しのようでドキドキしますね。もちろん自由に手に取って選ぶことができます。

食と暮らしの本がメインではありますが、それ以外にも古い雑誌やカタログなどもあり、ながめているだけでも楽しいです。

『冬榮舎』内観 本棚
『冬榮舎』内観 本棚

また、店の中央には木製のテーブルが置かれており、椅子に腰掛けて閲覧用の本を読むことができます。

貸し出し用の本もあるので、気になる本を見つけた場合は持ち帰ってゆっくり読むこともできるんですよ。

『冬榮舎』貸し出し用の本  “1回100円(4週間2冊まで)遠方の方延長可”
『冬榮舎』貸し出し用の本 “1回100円(4週間2冊まで)遠方の方延長可”

月替りの『ヒトツキ古本屋』も忘れずチェックしたいコーナーです。

このコーナーには、誰かが冬榮舎に委託した本が置いてあります。一ヶ月ごとに委託者が変わるため、『ヒトツキ古本屋』なんですね。

毎月概ね段ボール一箱分くらいの分量が委託されているのですが、その量でも不思議と委託者の個性が感じられるところが面白いところです。

普段の冬榮舎とは異なったラインナップなので、掘り出し物を見つけることが出来るかもしれません。

『ヒトツキ古本屋』については、どういった本が置かれるか毎月ブログで予告されます。

そちらを確認するのも良いですし、前情報なしのわくわく感で臨んでも楽しいですよ。

本の他にもポスターやカレンダー、ポストカード、CDなどの委託販売も行っています。写真展やお話会の実施もあります。

コーヒーやビールを片手にテーブルを囲む

なんとこちらの冬榮舎、店内でコーヒーやビールも飲めるんです。

オススメはガリガリコーヒー。

オーダーすると、豆の入った缶とミルが手渡され、自分でガリガリとコーヒー豆を挽くところから始まります。挽きたてなので当然香りも良く、自分の好みの挽き加減にもできます。手動で豆を挽くのも楽しいものですよ。

常連が多い店なので、やってきた常連同士で自然と会話が盛り上がることもあります。持ち寄った差し入れを皆で摘みながらコーヒーを飲む、なんて光景も珍しくないんです。

『冬榮舎』ガリガリコーヒー
『冬榮舎』ガリガリコーヒー

また、常連の手芸好きな方々で手芸部が結成され、この『冬榮舎』で定期的に活動が行われているそうです。他にも、取り上げる本を決めての読書会や、テーマを掲げた食事会も行われていました。

本当にバリエーションに富んだ様々な集いが、古本屋という枠をこえて催されているのです。

冬榮舎を起点として様々な人が繋がりあい、それぞれの個性を発露させ、この小さな店内で化学反応が起きています。

店主がそれを許し、店の雰囲気がそれを許すからこそ、常連客も居心地良く過ごせるのでしょう。

そういった意味でも、この冬榮舎は古本だけを扱っているのではありません。形のないものをたくさん内包した、器の大きな店なのです。

基本的に読書とは一人で行うものです。

しかし冬榮舎に来ると、読書とは本と向き合うだけの行為ではないということを再確認させられます。

例えば読後の感想を語り合ったり、お勧めの本を紹介し合ったり、本を通じて誰かを感じたり、そういうことも含めて本を読むことは素敵なことだと感じずにはいられないのです。

初めて訪れても何だか居心地が良い、不思議な古本屋です。

アクセス・駐車場

駐車場はありません。土日祝日は、松江市役所のおもてなし駐車場に停めて、歩いて向かうのをお勧めします。

有料駐車場ですと、茶町商店街振興組合駐車場が最寄りです。地図で確認の上、ご利用ください。

本当に路地裏でひっそりと営業していらっしゃるので、必ず地図を確認してから向かうことをお勧めします。

イベントなどに出向くため店を空けていらっしゃることもあるので、営業日や営業時間については、ブログをご確認ください。

冬榮舎 公式ブログ