空き家対策の鍵となる「空き家予備軍」という概念。片付けは空き家管理の第一歩。

2020年11月21日古民家暮らし

出雲市で開かれた空き家に関する勉強会に参加してきました。

「片付け」から始める「空き家対策」

今回の勉強会は、神戸市で活躍されている「モノコミュ」さんによるセミナーでした。

モノコミュ」さんは、空き家の家財整理をテーマに活動されている社団法人です。今回の勉強会でも、モノの片付けを中心にノウハウや経験談を発表されてました。

今回の発表で興味深かったのは「空き家予備軍」という概念でした。

  • 高齢独居世帯
  • 高齢子なし世帯
  • 高齢+未婚の子世帯
  • 子が家を継ぐ予定がない

こういった世帯は近い将来空き家となる可能性が高いという意味で「空き家の予備軍」なのだそうです。

空き家の数は全国で820万件と発表されています。しかしこの「予備軍」を加えると一体どのくらいの数になるのかちょっと想像もつきません。

これらは、予備軍である今のうちから適切に管理(=片付け)をしておかなければ、本当に空き家になったときの対処が難しくなってしまうのだそうです。一旦ゴミ屋敷となってしまうと片付けに100万円単位の費用がかかってしまいます。

モノコミュさんはここをターゲットとして活動されているのだとか。なるほどと思いました。

空き家片付けノウハウ

以下は勉強会でメモした内容です。雑ですいません。

  • 必ずお客さんと一緒にやる
    • 決定権者を契約書に書いておく
    • 大事なものは最初にわけておいてね的話が大事
  • 種類別に分別するルール(ふとんはふとんだけ、鍋は鍋だけ…)
    • 原則としては地域のごみの廃棄ルールにあわせて分別
    • これならお手伝いがかんたん
      • お客さんと一緒にやる、パートの人をたのむ、
      • 「洋服だけこの袋にいれて」と言った指示なら簡単
    • 例:おにんぎょう
      • むかし両親が大事にしていたもの
      • 他といっしょに袋にいれてしまうと
      • あとから「やっぱりアレとっておきたい」となった際に探し出すのが厳しい
      • おにんぎょうだけという袋に最初にまとめておけば簡単
  • 処分方法1:地域の指定回収業者へ
    • 手前に大型もえないごみ、はじっこにその他、みたいにまとめる
    • 回収業者を時間指定し、きてもらう時間にあわせて配置
  • 処分方法2:買取業者へ
    • 先にみてもらう
    • 後でとりにきますみたいな時のためにわけておく(部屋をわけておくとか)
  • 処分方法3:寄付
    • 例:タオル → 福祉施設
    • ひとの役に立つという名目がたつとモノの手離れがよくなる → リユース

処分方法はその地域によってまちまちなので、地域の情報をしっかり把握して計画することが大事なのだそうです。工程の段取りがすべてとおっしゃっておりました。

空き家予備軍

一度空き家になってしまうと、取り壊しにもお金がかかるし、住人が亡くなったり施設に入ったりしたら権利関係の確認にも手間取ります。

いまのうちに、家賃無料とか格安(固定資産税分くらい)にしてだれかに住んでもらわないと、農山村や地方都市のスラム化(治安の悪化などの)問題が発生します。

そのためにも予備軍のうちから家を片付けておくことが大事。家の中がぐちゃぐちゃの状態ではひとに見せることもできないから。

自分は今まで「すでに空き家になってしまった家をどうするか」という視点ばかりで考えていましたが、なかなか今回の勉強会は目からウロコで面白かったです。

今回の空き家勉強会の感想

今回の勉強会、参加者の顔ぶれが様々でした。整理収納アドバイザー(という資格があるんですね!)の方や建築会社の人はもちろんですが、デザイナーさんや行政関連の人などもおられ、空き家問題への関心の高さが伺われました。

「空き家」と言っても連想するものは人それぞれ。町家と里山古民家ではまったく違う対応になるでしょうし、片付けという観点ではマンションの空き室なども対応を考えていかないといけないのではと感じます。

ブログ主の自分も空き家問題にはたいへん興味があります。これからも勉強して、できることを模索していきたいと思います。