注文住宅や新築住宅を建てるときには高気密・高断熱・24時間換気がポイント!

2020年11月19日古民家暮らし

近年の注文住宅や新築住宅は、夏の暑さや冬の寒さから解放されて一年中快適に過ごすことができる様に高気密・高断熱で建てられることが少しずつ増えてきました。

高気密・高断熱住宅では室内の温度差が小さくなるため、夏の熱中症や冬のヒートショック、結露などを防ぐことができ、住まい手ばかりでなく住宅そのものの長寿命化にも効果があります。

そしてそれは、結果的に省エネルギー住宅になり、冷暖房費の節約にもつながります。

さらには温暖化の原因となるCO2排出量も削減できるので、高気密・高断熱住宅は地球環境にやさしい住宅といえます。

そこで本記事では、高気密・高断熱住宅と高気密・高断熱住宅に不可欠な24時間換気について解説したいと思います。

さらに、注文住宅や新築住宅を越える高コストパフォーマンスの裏技をご紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

高気密・高断熱の新築住宅ってどういうもの?

高気密・高断熱住宅とはどの様な住宅のことをいうのでしょうか。

高気密

気密性とは室内外の空気の出入りが少ないこと。

すなわち高気密・高断熱住宅とはひとことで言うと空気の出入りを防ぐために家中の隙間をなくし、屋根や外壁などの外気に面する部分の断熱性を高めてできるだけ外気の影響を受けにくくした家のことをいいます。

一方、湿気を帯びた外気や室内の蒸気が壁の内部に入り込むと、断熱されていない部分で結露が生じて建物に悪影響を及ぼしてしまいます。

したがって高気密と高断熱はセットで考えなければなりません。

そのため高気密・高断熱住宅は防湿シートや気密テープ、高性能な断熱材、断熱性の高いサッシなどを採用して建てられ、気密性と断熱性を同時に高いレベルで実現した住宅です。

高断熱

断熱性とは屋外の温度の影響を受けにくいことをいいます。

特に窓は住まいの中で最も熱が逃げやすい場所なので、断熱性の高い樹脂サッシや二重窓を採用するなどの対策が重要です。

一般的には省エネルギー基準を超える断熱・気密レベルを満たしていることが求められ、国が定める住宅性能表示の項目のひとつである「断熱等性能等級4」を満たしていることがひとつの目安です。

また木造住宅の断熱方法には主に「充填断熱」と「外張断熱」の二つの工法があります。

「充填断熱」は柱や梁などの構造材の間に断熱材を充填する工法で、「外張断熱」は住宅全体を断熱材で包み込む工法です。

それぞれにメリットとデメリットがあるため、使用する断熱材の種類やコストなどを十分に検討した上で決定する必要があります。

暮らし方

リビングと廊下が開放されたつくり

もっとも特徴的なのは「扉が少なくなる」ことではないでしょうか。

玄関ホールと廊下や、リビングと廊下といった要所要所に扉を設けて熱が逃げないようにするのが一般的な住宅のつくりです。

高気密・高断熱住宅では家のどこでも一律の気温となるため、こういった扉を減らすことが可能となります。

それだけ限られた面積でも広々とした空間づくりが容易となるのです。

性能面や健康面の利点だけではなく、このようなバリアフリーの側面でも優れた特徴をもつ住宅です。

高気密・高断熱住宅の費用の相場はどれくらい?

ここまで高気密・高断熱住宅とはどの様な住宅のことを言うのかご紹介してきましたが、一般的な住宅と比較して様々なメリットがあることを理解していただけたと思います。

そこで気になるのが「高気密・高断熱仕様にするとどれくらい建築コストがアップするのか?」ということではないでしょうか。

高気密・高断熱住宅では気密テープや防湿シートを使って気密性を高め、高性能な断熱材や断熱サッシを採用して断熱性を向上させるため、建材費が一般的な住宅よりも高くなります。

また精度の高い施工を行う必要があるため、施工費も高くなる傾向があります。

一方、高気密のため空気が滞留しやすくなるので、換気が悪いと建築資材などから発生する化学物質が室内にこもりやすく、カビが発生して健康被害を及ぼす恐れがあります。

そのため24時間換気扇などによる計画換気が不可欠で、メンテナンスが容易に行える換気システムの導入が重要になります。

それらのことがコストアップの要因になり、一般的な省エネ基準レベルの住宅よりも1坪あたり30,000~50,000円以上のコストアップ(延べ床面積30坪の住宅で90万~150万円以上のコストアップ)になると考えておくと良いでしょう。

もちろん断熱材とサッシの種類や性能、断熱施工の工法(充填工法か外張工法か)によっても価格差が生じ、外張工法の方が施工に手間がかかるので費用が高めになります。

高気密・高断熱住宅のメリット・デメリット

高気密・高断熱住宅のメリットは前述した通り、一年を通じて快適に過ごせる、冷暖房費が節約できる、ヒートショックの危険性が少なくなる、地球環境に優しいなどのほかに、防音効果が高くなる点が挙げられます。

隙間がないので音が漏れず、断熱材の吸音効果が期待できるためです。

一方、最大のデメリットは建築コストがかかることですが、他にも内部結露が発生しやすくなるという点が見逃せません。

施工上の問題で断熱材に隙間ができると内部結露が発生して柱や土台が腐食する原因になるため、通気層を確保して適切な施工を行うなど、厳格な品質管理を行う必要があります。

また、炭火焼きや七輪などの一酸化炭素を発生させる燃焼調理器具の使用は適さなくなるので注意が必要です。

高気密・高断熱住宅にとって24時間換気は超重要!

高気密・高断熱住宅は、夏涼しくて冬は暖かいので一年中快適に過ごすことができますが、気密性が高いために換気不良になると室内の二酸化炭素濃度が上がり、息苦しさや慢性的な頭痛、睡眠不足などを引き起こす原因になります。

さらに建材や接着剤から発生するVOC(揮発性有機化合物)によるシックハウスや、ダニの死骸やカビ、埃などのハウスダストによる喘息やアトピー性皮膚炎などの健康被害に注意が必要です。

そのため高気密・高断熱にするほど、窓を閉めた状態でも常に新鮮な空気を室内に取り入れることができる24時間換気が不可欠です。

24時間換気システムの外気吸入口

24時間換気システムの設置は2003年に義務化されているので、現在の新築住宅で24時間換気システムが設置されていない住宅はありません。

ここで問題となるのは新築した後のメンテナンスです。

新築してから10年以上経過しても換気システムがきちんと作動する様に、適正な点検、メンテナンスを行うことが重要になります。

定期的に24時間換気システムの点検・メンテナンスを行うことができない人が高気密・高断熱住宅を建てると大きなリスクを伴うことになるので要注意。

自分の家の面倒は自分でしっかり見ることが大切となります。

中古住宅(空き家)リノベーションで24時間換気・高気密・高断熱の住宅は造れる?

現在の一般的な新築建売住宅の断熱性能は、省エネ基準を満たしているかどうかというのが一般的なレベルで、高気密・高断熱住宅と呼べるものはほとんどないのが現状です。

したがって高気密・高断熱の新築住宅に住みたいと思ったなら、注文住宅を建てる必要があるといえます。

しかし前述した様に、注文住宅を建てたいなら1坪あたり30,000~50,000円以上のコストアップを覚悟しておく必要があります。

中古リノベーションで充填断熱を行う例

一方、近年では中古住宅(空き家)のリノベーションの人気が高く、新築住宅よりも割安な価格で購入して自分のライフスタイルに応じて自由に間取り変更を行ったり、耐震性能を向上させて安心して暮らせる様にしたりする方が増えています。

しかし住宅の断熱性能は年々向上しているため築年数が経過している中古住宅(空き家)ほど断熱性能が劣っている傾向があり、中には断熱材が全く入っていないといったこともあります。

また以前は住まいの断熱性能に対する意識が低かったため、たとえ断熱材が入っていてもすき間だらけで効果がほとんどないものが少なくありません。

そんな中古住宅(空き家)にとって、リノベーションが高気密・高断熱化を行う絶好の機会になることはあまり知られていません。

一般的な小規模リフォームでは断熱性能を向上させることは可能でも、気密性能を向上させるのは難しいとされています。

間取り変更や耐震補強を伴うリノベーションは、一度外壁や内壁、天井、床などを剥がしてスケルトン状態にすることが多いので、比較的安価で天井裏や床下、壁の内部に断熱材を充填したり、24時間換気システムを導入したりすることができると共に、高気密化の施工も可能です。

また硬質ウレタンフォームなどの現場吹き付け工法を採用すれば、大掛かりな解体工事を行わなくても断熱したい部分にだけ断熱材を吹き付けることができます。

こういったフルリノベーションで新たに24時間換気・高気密・高断熱化を行うためには、1,000万円以上の費用がかかってしまうこともありますが、新たに新築することと比較すればコストパフォーマンスは良いといえるでしょう。

したがって高額な費用をかけて注文住宅を建てたり高気密・高断熱の新築住宅を購入したりするよりも、中古住宅(空き家)を購入して高気密・高断熱化リフォームを行った方がお得になるケースが少なくありません。

またこの様なリフォームを行う際には、国や自治体の補助金制度を利用することも可能です。

特に中古住宅(空き家)の間取り変更や耐震補強などのリフォームを検討しているなら、併せて高気密・高断熱化リフォームを行うことをお奨めしたいと思います。

ただし高気密・高断熱化リフォームを行う施工業者には、高気密・高断熱住宅に関するノウハウや豊富な施工実績、施工品質管理などが不可欠なので、業者の選定には十分に注意しなければなりません。

施工に不具合があると高気密・高断熱性能を確保できないばかりか、むしろ結露やカビなどが発生しやすくなってしまいます。

また建物の現状に応じて、断熱工法や施工範囲、使用する断熱材の種類や厚さなどを適切に判断することが大切です。

このようにリフォーム・リノベーション工事は、ゼロから建てる新築住宅よりも技術的に難易度が高いとされています。

高気密・高断熱化のリフォーム工事は信頼できる業者に依頼することが重要です。

まとめ

近年の地球温暖化による自然災害の増加やCO2排出量の削減、省エネなどが叫ばれる中で、住宅の高気密・高断熱化は今後益々重要な課題になると思われます。

一方、国内では昔から、夏でも過ごしやすい様に風通しの良い開放的な住まいづくりが推奨されてきた歴史があり、高気密・高断熱な家は馴染まないとされてきました。

そのため日本の住まいは冬寒くて、断熱性能は世界でも最低レベルにあると言われています。

国内でも東日本大震災後に少しずつ住まいの省エネ化(断熱化)が求められる様になり、省エネ基準が定められていますが、2020年に予定されていた省エネ基準への適合義務化は先送りされることになりました。

住まいの高気密・高断熱化には様々なメリットがある一方で、建築コストが上がってしまう、施工業者の習熟度が低いなどといった課題があります。

2020年に予定されていた省エネ基準への適合義務化が先送りされることになった背景にはこれらの問題があるといわれています。

しかし新たに新築住宅を建てるだけでなく中古住宅(空き家)を高気密・高断熱化することによってコスト削減効果も期待できるので、選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

中古住宅(空き家)リノベーションのメリットは、DIYや個性的なデザインなど、他にも様々です。ぜひ当サイトの他の記事も読んでみてくださいね。

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