古民家に馴染む漆喰の塗り壁。大工さんに混じって漆喰塗りした体験記

2021年3月10日古民家暮らし

内装を検討している段階で壁紙をどうしようという話になったとき、IC(インテリアコーディネーター)さんから「通常の壁紙の他、ご自身で漆喰を塗られてみませんか?」と、提案を受けました。

壁を自分で塗りませんか?

蔵とかに塗ってある漆喰?素人の自分が塗る?と思っていると、

漆喰は呼吸する壁紙とも言われているようで、調湿効果や空気をキレイにしてくれる効果があるそうです。

またICさん曰く、一般的なビニール壁紙は貼るときに使う接着剤にアレルギーが出る場合もあるらしく、全面壁紙にするのは心配とのことでした。

自分で塗るというのは、左官さんに頼むより人件費がかからず壁紙を貼る値段と大きく変わらないからずお得になるのだそう。

そうは言っても漆喰を壁に塗るなんてコテを使ったりして職人さんがするような難しい作業なのでは?と実感がわかなかったのですが、工務店さんの事務所に実際に漆喰で塗ったという部屋があるというので見せていただきました。

事務所で実際に使った道具はコテではなく、ペンキを塗るときに使うローラーを使って塗ったとのことでした。簡単にきれいに仕上がるようです。

見せてもらった漆喰の壁は、素焼きの焼き物のような素朴で自然物に近い奥行きが感じられて、思わず触りたくなるようなあたたかみを感じました。

漆喰壁の隣に貼ってあった漆喰風のビニール壁紙と比べてみると、壁紙の方は模様がパターン化していてのっぺりとした印象を受けました。

漆喰は古民家の雰囲気にも相性が良さそうで、こんな壁に囲まれながら暮らしてみたいな!体にも良いし!と私達の胸を打ち、漆喰を自分で塗ることにしました。

ベジタウォール

通常、漆喰は使う前に練る作業があり、それが結構面倒で大変らしいのです。

ですが、初心者でも自分でできる練り済みで届く漆喰塗り壁材があるとのことでした。

ICさんが以前別の現場で使い、とても評判が良く事務所の二階に塗るのにも使ったという「ベジタウォール」を使うことになりました。

色に野菜の名前が使われていて、変わったコンセプトだなと思っていたら実際に野菜を利用しているということでした。

粉末を水で練ってから使う事が多い「漆喰」ですが、Vegeta WALL はすでに練ってあるので届いてからすぐにお使い頂けます。いやなにおいが少なく、手に付いても水で洗えばすぐ落ちます。(お肌の弱い方は、ゴム手袋を着用して下さい)。野菜を浸けこんで作られる「抗酸化溶液」が入った漆喰です。野菜をイメージした、9色のかわいいパステルカラーが特長。

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その他、防カビ・消臭・静電気防止・吸放湿性があり調湿効果もあるとのこと。

色は色見本や実際にベジタウォールを使われた方のブログなどを参考にしました。

色味のある壁が好きな私はパンプキン色かジンジャー色か迷っていたら、ICさんにジンジャー色の方が家具や柱の色を邪魔しづらいですよとアドバイスいただいて、ジンジャー色に決定しました。

実際塗るととても柔らかい暖かな色でした。

セルフで塗る

建築中の我が家で大工さんに混ざりながら壁を塗ることになりました。

工事現場と塗道具
テレビ前にスペースを頂いて作業開始

リビング・廊下・寝室・玄関と広い範囲を塗っていきます。

養生が大事

現場監督の方に養生の仕方や道具を教えてもらいました。養生にはマスキングテープとマスカーを使いました。

我が家のリビングや廊下は真壁(しんかべ)という昔ながら?の構造材の柱が見える壁です。

ローラーで塗るときは周りに細かく漆喰が飛び散りやすいため、何もしないでいると柱や床が漆喰の飛沫だらけになってしまいます。

建設中のため真新しいものがたくさんあったので、養生をしっかり頑張ることになりました。

マスカーの写真
フィルム状に拡がるマスカー

マスカーというのは今回はじめて知ったのですが上の画像のようなものです。一見テープのような小さな巻ロールですが、ひきのばすと幅広い範囲を覆うことのできるフィルム状の養生道具です。

養生をしっかりすることで思い切って塗ることができるので綺麗に仕上がります。「養生8割塗り2割」なんて言いながら作業をしていました。

直接触ると手が荒れるとICさんに聞いていたので天然ゴムの手袋をしたのですが、塗っているうちに漆喰のついたところがすぐ破けてしまい何回も変えることになりナイロン手袋にしました。

おそらく天然ゴムとベジタウォールは相性が良くないのだと思います。

ローラで漆喰を塗る
下地ボードに直接塗りました。
青い部分がマスキングテープです。

養生は塗る面から2ミリくらいの隙間を開けてマスキングテープを貼るとキレイに仕上がるそうです。剥がすときは漆喰が乾いた後だと漆喰が一緒に剥がれてしまったので乾く前に剥がすと綺麗に剥がれます。

マスキングテープは塗る面の上下コの字に貼る→左右に貼る マスカーを上から貼る。という順番で作業しました。

二度塗りが大事

ローラーは力をいれなければムラになってしまい手がすぐ疲れるので、1回で綺麗に仕上げるのは難しかったです。

そこで私が普段ネイル(マニキュア)を塗るときに2度塗りをするのを思い出して、1回目はざっとムラを気にせず薄く塗り、乾かしてから2回目を塗るようにするとムラなく綺麗に塗れました。

二度塗り中
二度塗りをしているところ

二度塗りをしているところです。

濃い色のところが二度塗り中の壁で、薄い色のところが一度目に塗って乾いたところです。

落書きをすると全然消えないので注意です⚠️この面は結局三度塗りをして落書きを消しました😅

二度塗りし終わった壁
互い違いに塗っていきます

隣り合った壁は養生が剥がしづらいので離れた壁を互い違いに塗っていきました。上の写真では薄い色の乾いた壁と濃い色の壁が互い違いになっているのがわかります。

壁の隅の方はローラーが届かず綺麗に塗れないので別途、刷毛で隅を塗りました。

一回目が終わって乾くまで丸一日かかります。

乾かないまま二回目を塗ろうとしたら一回目の漆喰がローラーにくっついてゴソっと剥がれてやり直しになってしまったので、しっかり乾かしてから二回目を塗りました。

コテ塗りにも挑戦しました

一番目立つリビングのテレビボードはコテ塗りにチャレンジしてみました。平に均一に塗るのは技術的に難しそうなので波をイメージした引きずり仕上げもどきにしてみました。

テレビボードの壁
塗り直後のテレビボード

ローラーに比べて塗るのは力もいらず塗るのは楽なのですが、漆喰を沢山使いコテの扱いも難しくなかなか苦戦してしまい謎な模様になりました。

それでもコテで塗るのは二度塗りもなく職人さん気分でとても楽しく、終わる頃にはこれはこれで味があるということにして一人納得していました。

完成

正月休みや週末を使って一ヶ月ほどの期間で塗り終えました。16Kgのベジタウォールを6箱使いました。今思うとよくやれたなと思います。

漆喰をぬった壁
独特の風合いのある仕上がり
漆喰天井
天井

壁は全部自分たちでやったのですが、天井は流石に手が届かないので左官屋さんにお願いしました。

実は、この前段階として柱の柿渋塗があったのですが、これも自分たちで塗りました。これもなかなかに大変だったのでまた別記事に書こうと思います。

思い出

今回建築中の家で大工さんに混じって同じように作業着とヘルメットを着けて、時折壁塗り業者に間違われるほど漆喰まみれになりながら作業をしていました。

家が少しずつ確実にできあがっていく様子や大工さんの素晴らしい仕事を間近に体感することができ、なかなか貴重な体験だったように思います。

建築中に壁塗り作業をする風景
建築中に壁塗り作業をする風景

キツキツのスケジュールで作業をしていたので途中でダウンしてしまい、想定していた期間よりも長くかかりました。

やっぱり慣れないことは余裕を持って行わないといけませんね!

そんな事もあって、途中私の父にも手伝ってもらったのですが大変だーと言いながらも楽しそうでした。

手形
手形

塗り作業がすべて完成してから、頑張った記念に手形をみんなで押しました。一生の思い出です。