稲佐の浜の不思議な大岩「弁天島」。地元で古くから愛される「べんてんさん」。

2022年8月30日出雲のスポット

出雲大社からわずか数分の人気スポット神話の舞台”稲佐の浜”

今ではすっかり有名になった出雲大社から車で西の方向へ向かいわずか数分で現れるのは、きれいな海と砂浜。

夏のシーズンには海水浴客で賑わうのはもちろん、一年を通して非常に多くの人が観光に訪れる“稲佐の浜”です。

稲佐の浜についての案内看板

駐車場の入り口に稲佐の浜について何やら案内がありました。

案内の見出しに書いてある、『神話の舞台』という言葉に真っ先に目を惹かれました。

この場所がはるか昔、神代からの歴史深い場所だということがひしひしと感じられます。

この遠浅の海ときれいな浜に一体どんな神話があるのか非常に楽しみになりますよね。

国譲りの稲佐の浜の”弁天島”にあった鳥居と祠。

そう思いながら海のほうを見ると、海辺にある巨大なものに目が奪われました。

そして、ついついそれに向かって無意識に歩き出してすぐさま写真を撮ってしまいました。

稲佐の浜(弁天島)

ちょっとビックリしませんか?なんでしょうこの大きなは。

近くに人がいますのでその大きさがわかると思いますが、まわりに何もない砂浜に突然あんなに大きな岩があるなんて、何だかとっても不思議な風景です。

なんだかワクワクしながら不思議なこの岩のもっと近くに行ってみました。

弁天島

近くまでやってくると岩の上方に祠のようなものがありました。

しかしここまで近寄るとその大きさにびっくりしてしまいます。

弁天島の岩肌
弁天島の岩肌

岩肌はごつごつして、とてもしっかりしているので簡単には崩れそうにない力強さを感じました。

祠がある部分以外は大半がこのようなしっかりとした岩がむき出しになっています。

この大きな岩は砂浜に不自然にぽつんとあり、その岩の南北には白い砂浜が美しい弧を描いていて、何とも不思議な海岸です。

島根観光ナビ公式ページによりますと、

この大きな岩が“弁天島”と呼ばれ神話の舞台となっているようです。

そしてこの大きな岩の上にあるのが豊玉昆古命という方を祀る小さな祠です。

この弁天島が国譲り神話やくにびき神話ゆかりのパワースポットであると紹介されていました。

簡単に紹介すると、『記紀』という国譲り神話では大国主神(おおくにのぬしかみ)が高天原から派遣された、たけみかづちのかみと国譲りの交渉をした場所であると紹介されています。

どうりで何かしら不思議なパワーを感じ取ることができるんですね。

日本全国の神様が上陸する稲佐の浜

出雲地方には古くから言い伝えがあり、10月になると出雲大社で縁を結ぶ話し合いをするため全国各地の神様が集まって来ると言われています。

そのため普通なら10月は陰暦で神月といいますが、出雲地方だけはかみありづきというそうです。

この話は最近ではかなり有名になってきましたが、この10月の神在月に全国から集まった神様がこの浜に上陸すると言われています。

全国の八百万の神様がこの浜に上陸すると想像したら、なんだか物凄いパワースポットに来てしまったと思いますよね。是非多くの方々に知ってもらい、訪れてほしいなと素直に感じました。

そういった歴史の重みを感じながら浜を歩くことができるのは、とても感慨深く感謝の気持ちでいっぱいになります。

弁天島は登るものではなく拝むもの。

弁天島のふもと

弁天島は海にぽっかり浮かんでいるわけではありません。海側の岩は海水に浸かっているとこともありますが、前の方は陸続きになっているので好きなだけ近くまで行けます。岩が痛む恐れがあるので登るのはやめましょう。

出雲市の観光ガイドによると、昭和60年前後までは島の前まで波が打ち寄せていたようですが、出雲大社の遷宮が行われて参拝客が激増した近年、急に砂浜が広がって現在では島の後ろにも歩いて行けるようになったそうです。

なんだか自然の大きな力を感じてしまいますよね。

この弁天島ですが、地元では『べんてんさん』と呼ばれています。

かつては稲佐湾の遥か沖にあったため沖ノ御前、沖ノ島と呼ばれていたそうですが、なんだか『べんてんさん』の方がしっくりくるような気がしてしまいます。

夕方になると見ることのできる美しい夕焼けはを見ることもでき、ロマンチックで神秘的な風景になります。

出雲大社近くまで来られた際にはぜひとも訪れてほしい場所です。

地元民ブログ主の昔からの弁天島の思い出

子どもの頃は弁天島のある稲佐の浜の近くに住んでいて、犬のお散歩によく出かけていました。当時はあまり観光客もおらず近所の人がワカメや貝を採ったりする姿をたまに見かけるような、のんびりとしたところでした。

今は亡き祖父がべんてんさんを通るたび、手を合わせていたのをよく覚えています。

斜め後ろから見た弁天島
斜め後ろから見た弁天島

その頃の弁天島は海の中に『島』としてあったので、大人からは「べんてんさん(弁天島)には近づくな!浅く見えても周りが深くなってるから岩の下に引きずり込まれるぞ」といたずら防止も含めて耳にタコができるほど言い聞かされました。

現在は浜の砂が増えたので近づいて島の後ろから写真を撮ることもできます。

まるでべんてんさんが人恋しさに上陸してきたような錯覚を覚えてしまいました。

弁天さんの松と、これからのべんてんさん

昔の弁天島といえば、岩のてっぺん付近には一本だけ形の良い松が生えていました。

それが子供心に「なぜ岩だらけのはずのあんなところに松が生えれるのだろう?」と祠があるのも相まって畏怖の念を感じたものでした。

その松ですが、6年ほど前にマツクイムシの影響で枯れて今の姿になってしまいました。

地元のわたしたちは「べんてんさんが貝のような姿になってしまった」とさみしく思い出すこともあります。

べんてんさんの松は復活するのでしょうか?

稲佐の浜は現在、農林省の水産庁(島根県の水産事務所)管理となっています。

ですが、弁天島だけは大蔵省(財務省)の名義となっているのです。そのため、植樹などが行われることも考えづらいと思われます。

出雲市・島根県などが直接管理することはありません。

実は、松枯れした当初に1度だけ地元の有志により植樹が行われているそうです。そのときは残念ながら定着しなかったようですが。

今は大社のみなさんはどう考えているのかな。進め方次第だとは思うんですよね。

いつかまた、べんてんさんの松が見られるといいなと、ブログ主は思うのでした。

弁天島 アクセス情報 駐車場・トイレあり

詳しいアクセス方法や歴史的文献は公式サイトを参照ください

砂浜に降りるには稲佐の浜専用駐車場に車を止める必要があります。10~15台ほど止めることが出来ますし、駐車場にはトイレもあり、ちょっとした休憩や観光にはとても便利です。