出雲大社に次ぐ二ノ宮『佐太神社』と摂社『田中神社』出雲国で最も尊い佐太大神。珍しいおみくじも。

2020年12月1日出雲のスポット

佐太神社はどんな神社?

松江市鹿島町にある佐太神社は、出雲国二ノ宮として知られています。

「出雲国二ノ宮」ということは、出雲国の中で出雲大社に次いで二番目に社格の高い神社ということです。

佐太神社正面
佐太神社正面

佐太神社は古くは「佐陀大社」として崇められており、現在でも様々な神事が残っています。

なかでも、出雲神楽の源流とも言われる佐陀神能は、ユネスコ向け文化遺産にも登録されている貴重な文化です。

八岐大蛇を題材にした『八重垣』がポピュラーな演目ですね。

佐太神社は、正中殿と北殿、南殿が3つ並んでいるとても珍しい造りです。

鳥居を潜って正面に位置する正中殿には、佐太大神(サダノオオカミ)をはじめとした5柱が祀られています。

佐太大神は、道案内ひいては導きの神として有名な猿田彦大神(サルタヒコノオオカミ)です。

扇の紙部分を表す地紙が御神紋です。

佐太神社 正中殿
佐太神社 正中殿

向かって右側に位置する北殿には、天照大神(アマテラスオオカミ)と瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が祀られています。

太陽神と、その孫にあたる神です。

瓊瓊杵尊は、天皇の直系と言われています。

御神紋は輪違いです。

佐太神社 北殿
佐太神社 北殿

最後に、向かって左側が南殿です。

こちらには、素戔嗚尊(スサノオノミコト)と、秘説四座(ひせつよんざ)が祀られています。

秘説四座とは、お名前を出すことのできない秘した4柱ということになります。

御神紋は二重亀甲です。

佐太神社 南殿
佐太神社 南殿

このように、佐太神社には合わせて12柱もの神々が祀られているのです。

なんともパワフルな神社ですね。

加えて境内には摂社・末社も存在しますので、それぞれにしっかりお参りしておきたいところです。

佐太神社の見逃せないポイント

佐太神社では、先ほど紹介した正中殿、北殿・南殿の他にも見逃せないポイントがいくつかあります。

ひとつ目は、おみくじです。

何故なら、おみくじの形が他ではあまり見ない珍しい扇型をしているからです。

正中殿の御神紋が扇の紙部分を表す地紙であることや、佐太神社の神宝である檜扇が由縁です。

佐太神社 扇のおみくじ
佐太神社 扇のおみくじ

また、佐太神社の裏手には、神名火山として『出雲国風土記』にも登場する神の座す朝日山がそびえています。

南殿の横手からその朝日山を目指すと、ひっそりとした上り階段が続いています。

そのまま登っていくと、たどり着くのは「母儀人墓所(はぎのひともとしゃ)」と呼ばれる場所です。

こちらは、日本で最初の夫婦となった女神である伊弉冉尊(イザナミノミコト)のお墓と言われています。

神在月である10月には、日本中から集まった神々が出雲大社で会議を行いますが、神々はその後に佐太神社に立ち寄るのだそうです。

それは、イザナミのお墓参りのためだと伝えられています。

母儀人墓所は、樹々に囲まれており夏でも涼しく、静かです。

どこか神々しい気配すら漂うようで、パワースポットとしても名高い場所です。

佐太神社へお参りした際は、こちらへも忘れずに参拝しましょう。

縁結びと縁切りの神が同居する田中神社

佐太神社の鳥居を出て、佐陀川沿いを左へ少し進むと、摂社である田中神社があります。

こちらも、是非訪れておきたい神社のひとつです。

鳥居をくぐった正面が姉である磐長姫(イワナガヒメ)を祀る東社、その後ろに背中合わせのようにあるのが妹である木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)を祀る西社です。

磐長姫が悪縁切り・長寿の神、木花咲耶姫が良縁結び・安産の神と言われています。

このように悪縁切りの神と良縁結びの神が同じ神社に祀られているのは、全国でも非常に珍しいことです。

しかし考えてみると、まず悪い縁を切った後で良縁を結び直すというのはとても理に叶っていますね。

佐太神社の後にイザナミの墓である母儀人墓所へ、その後にこちらの田中神社へお参りするのが正しい参拝順序です。

縁切り・縁結びをより祈願したい場合は、佐太神社の社務所で割符を手に入れておくことをおすすめします。

割符は左右で悪縁切り、良縁結びと分かれています。

田中神社の東社と西社の間で願をかけたら、割符を割る仕組みになっています。

悪縁切りの割符は収め箱に入れ、良縁結びの割符は西社側に結びましょう。

佐太神社摂社 田中神社正面
佐太神社摂社 田中神社正面

佐太神社の北殿に祀られている瓊瓊杵尊と、この姉妹は深い関係があります。

瓊瓊杵尊は木花咲耶姫に求婚した際に、姉の磐長姫も共に娶るよう、姉妹の親から言われます。

しかし、瓊瓊杵尊は妹の木花咲耶姫とは夫婦になりますが、姉の磐長姫は容姿の醜さから親元へ返してしまうのです。

磐長姫は長寿を司る女神です。

そのせいで、瓊瓊杵尊は永遠の命を失ったと言われています。

こう言った因縁のためなのか、木花咲耶姫の西社は瓊瓊杵尊を祀る北殿を向き、磐長姫の東社は北殿に背を向けた形になっています。

こういった謂れを知ると、神様も人間くさく感じられて面白いですね。

ブログ主と佐太神社

松江に住んでいた折、子供の七五三のご祈祷とお参りをこの佐太神社でお願いしました。

綺麗なご神楽殿でのご祈祷が終わり改めて拝殿にお参りしていると、ご年配の女性から声をかけていただきました。

その方に「良い神社をお選びになりましたね。佐太神社は二ノ宮と云われていますが本当は出雲大社よりも先に出来たんですよ。」と教えていただきました。

調べてみると文献上、佐太神社のほうが出雲大社より古くからあるようで、今でも地元の方には社格の高い”一宮”として崇敬されているそうです。

アクセス・駐車場など

佐太神社は松江駅から車で30分程度の場所に位置しています。

駐車場は60台程度止められますので、大きな神事が行われるタイミングでなければ心配はいりません。

公共交通機関を利用する場合は、佐太神社のすぐ前にバス停があります。

神事の日程などは公式サイトで確認ください。

佐太神社公式サイト