古代を感じられる丘の上の公園『古墳の丘 古曽志公園』自然いっぱいの敷地内で古墳を散策。

出雲のスポット

『古曽志大谷1号墳』最上部からの宍道湖の眺め

古曽志公園の成り立ち

『古墳の丘 古曽志公園』は、朝日ヶ丘団地を見下ろすような丘陵地に整備された史跡公園です。

まずは、この古曽志公園の成り立ちからお伝えしましょう。

『古墳の丘 古曽志公園』案内図
『古墳の丘 古曽志公園』案内図

朝日ヶ丘団地を造成工事中に、歴史的にも貴重な前方後方墳が発見されたのは、1985年の出来事です。

その前方後方墳には「葺石」と呼ばれる人の頭程度の大きさの石が壁面に貼り付けられ、更に丸い筒形の「円筒形埴輪」が並べられていました。

どちらも墓である古墳を飾り付けるためのもので、埋葬されている死者が高い地位にいたことを示しています。

この古墳は、『出雲国風土記』に登場する狭田国の王の墓ではないかと言われています。

狭田国とは、出雲国統一前に存在したとされる小国で、現在で言う松江市鹿島町佐陀から出雲市小津の辺りを指します。

ちなみに、古墳と言えば前方後円墳をイメージすることが多いと思いますが、古曽志公園に複製されているのは前方後方墳という古墳です。

正方形に台形を付けたような形をイメージしてみてください。

この前方後方墳は、出雲地方に多く見られる形の古墳です。

この前方後方墳は、古曽志大谷1号墳と名づけられ、本来の場所から少し東にずらした丘の上に復元されました。

そして、整備されたのち1991年に公開されたのが『古墳の丘 古曽志公園』です。

古墳内部から発見された鉄器や矢尻のレプリカなども合わせて展示されています。

古墳は原寸大で復元され、発見当初のように飾りの役割を持つ葺石や埴輪も並べられました。

階段を登っていくと、最上部から公園全体を見渡すことができます。

『古曽志大谷1号墳』
『古曽志大谷1号墳』

古墳の最上部には、埋葬施設部分が再現され分かりやすく公開されています。

『古曽志大谷1号墳』埋葬施設
『古曽志大谷1号墳』埋葬施設

大見出し:古墳から宍道湖と神の山を眺めて

『古墳の丘 古曽志公園』の見所の一つが、復元された古曽志大谷1号墳最上部からの眺めです。

元々の古曽志公園が丘陵地であると言うこともあり、その中でも更に小高い場所である古曽志大谷1号墳からは、周囲を悠々と見渡すことができます。

『古曽志大谷1号墳』最上部からの宍道湖の眺め
『古曽志大谷1号墳』最上部からの宍道湖の眺め

古墳の上から南に視線をやれば、宍道湖はもちろん、その向こうの玉造までしっかり見通すことができます。

写真の右端の赤い屋根は、運転免許センターです。

古墳の北側には朝日山が位置しています。

ここで再び『出雲国風土記』に返りますが、朝日山は「神名火山」と言う名前で記されています。

神名火山とは、神が座す山であり、宍道湖を囲むように4つ存在しています。

朝日山が、その一つなのです。

多少本来の位置からずれてはいますが、このように宍道湖と朝日山を臨むような位置に古代の王が埋葬されたと思うと、何だか途方もない、壮大な気持ちになりますね。

変わらない大自然の雄大さと、神の気配を感じる山々は、古代からずっと出雲国を見守っているのでしょう。

『古曽志大谷1号墳』周囲の葺石と埴輪
『古曽志大谷1号墳』周囲の葺石と埴輪

古曽志大谷1号墳は遮るものが何もない高所なので、風通しも良く、晴れているととても気持ちが良い場所です。

是非一度、登って宍道湖と朝日山を眺めてみてください。

連綿と続く古代を感じよう

『古墳の丘 古曽志公園』で最も大きい古墳は復元された古曽志大谷1号墳ですが、他にも遺跡がいくつも残っています。

3つ仲良く並ぶ古墳群や、古曽志大谷1号墳よりも後年に作られた小さな古墳、土器を焼いていた窯の跡地など、広大な公園内に点在しています。

これらを眺めながら散策するだけでも、散歩として楽しめますよ。

また、古曽志公園は駐車場を間に挟んで敷地が大きく2つに分かれており、『地球46億年をわたる橋』という歩道で繋がっています。

この橋にはなかなか楽しい仕掛けがしてあるので、是非じっくり足元を眺めてみてください。

ビッグバンが起こり地球が誕生した時点から、恐竜の繁栄、人類誕生などを1メートル1億年換算で歩いて体験することができるのです。

『地球46億年をわたる橋』のスタート地点。イグアノドンとナウマンゾウ、人類の足跡
『地球46億年をわたる橋』のスタート地点。イグアノドンとナウマンゾウ、人類の足跡
『地球46億年をわたる橋』のゴール地点
『地球46億年をわたる橋』のゴール地点

橋を渡り終えた先には、自然いっぱいの敷地内に更に古墳が点在しており、引き続き散策を楽しむことができます。

また、古曽志公園内には、200人の観客を収容できる野外ステージがあります。

申請が必要ですが、希望すれば各種催しに利用することが可能です。

過去には、島根県出身のロックバンド『ギターウルフ』主宰の『シマネジェットフェス』が開催されています。

『シマネジェットフェス』は2017年から2019年まで毎年行われており、2019年は入場料無料を目指したクラウドファンディングも行われました。

松江のシンボルでもある宍道湖を一望できる古曽志公園で、島根に縁のあるアーティストがこういったイベントで地元を盛り上げてくれるのは嬉しいことですね。

イベントの際は、飲食ブースでしじみ汁も振る舞われたそうです。

『古墳の丘 古曽志公園』内の野外ステージ
『古墳の丘 古曽志公園』内の野外ステージ

アクセス・駐車場など

『古墳の丘 古曽志公園』は、松江駅から車で20分ほどの古曽志町の高台に位置しています。

公園は入場無料ですが、野外ステージを催しなどに使用する場合は有料です。

駐車場は30台程度備えてあり、こちらも無料になっています。

公園の詳細や野外ステージの申し込みは、公園を管理しているMIしまねのサイトをご確認ください。

古墳の丘 古曽志公園:http://www.mishimane.co.jp/15.html(管理会社MIしまね サイト内)