「出雲国の空き家テック」第1回イベントレポート。空き家活用の仲間づくりの場とは。
2021年1月17日、「出雲国の空き家テック」による初のMeetupイベントが開催されました。
この記事では、そのイベントの模様をお伝えします。
コミュニティの目的、イベントの趣旨
まずイベントの冒頭で、出雲で暮らすの野宗輝邦より諸所の趣旨を共有しました。
出雲で暮らすというサイトは、もともと里山暮らしや古民家リノベーションのおすすめをしていたサイトです。
ただ1年ほど前から、このためにはやはり空き家問題は避けてとおれないだろう、という気持ちになってきました。
それから、主に島根県の東部の地域をあちこち訪ねて回り、空き家活用の団体・個人・セミナー・勉強会などにいくつも行脚していたのが昨年のこと。
この日々のなか、空き家活用というのはまちづくりの地域の現場活動なのだということが、少しずつわかってきました。
それでは、なぜこんなコミュニティをはじめたのか、その理由はというと。
空き家活用の現場活動を見えるようにしたい、繋げていきたい、仲間づくりの場をつくりたい。そして技術で支えていきたい、そんな気持ちが芽生えてきたからです。
空き家活用の主役は地域の現場活動です。それはまちがいありません。
ただ、それを大きく広げていくためにはやはり、仲間づくりの力、横軸で繋がる力、支える技術の力は必要ではないかと思いました。
ともあれ、このコミュニティはそんなところからスタートしています。
そして今回はその第一回のイベント。
はじめてですから、顔合わせの回となります。まずはご縁をとりもつ回です。
今回、ご講演やパネルディスカッションといった情報提供の内容も用意はしましたが、参加型のディスカッションの時間を長くとっています。
今回ここに来られている方は、空き家について、なにか思いをもって来られてると思うのです。
ぜひ今日の講演やディスカッションのなかで、課題や、疑問点とか、やりたいことなどをみつけだして、共有してみてください。
そしてこの先、自分1人でその課題をこなすのがむずかしくても、このコミュニティで仲間をみつけて、あるいは、人に思いを託すでもいいと思います。
それが実現する方向に向かったら素敵なことではないでしょうか。
と、このようなお話をさせていただきました。
全国でほぼ唯一の「地域ローカル不動産サイト」山陰不動産ナビ
山陰不動産ナビは、不動産情報の集約ポータル。主に島根県東部地域の不動産物件情報を掲載しています。
不動産ポータルと言うと大手のHOMESなどが有名ですが、全国でほぼ唯一、地域ローカルの不動産サイトがこの山陰不動産ナビ。
地域の実情にあった検索システムや、電話によるサポートなど、地元密着企業ならではの対応で、支持されています。
今回の講演では、中古住宅情報のニーズ(検索ワード)の高まりや、島根県外(主に都市部)からのアクセスの伸びなども具体的な数字とともに示されました。
反面、実際の物件としての数が揃っていない現状なども報告され、コミュニティで取り組むべき課題かもしれないという提言もありました。
島根県東部地域の空き家活用団体によるパネルディスカッション
いままでにないコンテンツを…ということで用意されたのがこのパネルディスカッションでした。
松江市街地域でのまちづくりと空き家の活用を模索するマツエイエムスビ。
出雲市の里山で古民家を活用した地域の活性化を模索する伊野未来空き家プロジェクト。
町内会・近所の人の理解が大切であること。
実は空き家はかなりの規模で存在し、空き家活用団体によって情報が捕捉されていること。
市街地であれば商業用途、里山であれば地域住民の交流拠点。
市街地と里山という対照的な2つのグループからは、様々なお話を聞くことができました。
会場やオンラインからも質問が寄せられ、たいへん盛り上がった場となりました。
正直話し足りないくらいのところで時間がきてしまい、少々不完全燃焼だったり。
このコンテンツは大変おもしろかったので、ぜひ次回以降も継続していければと思います。
参加者同士のディスカッション
その後休憩を挟んで、ここからはオンラインでの参加者も加わり、チームを組んでのディスカッション。
「空き家活用における課題」「今後あるとよいこと」といった内容についての議論と発表が行われました。
パネルディスカッションで相当場があたたまっていたようで、活発に議論がかわされました。
とても全て細かくは書ききれませんが、抜粋すると発表された課題は以下の通り。
- 登記の問題と境界の問題、うわものはよくても実は使える状態ではないことが多い
- 信用できる不動産屋さんかどうか問題
- どこに相談したらいいかわからない、情報が手に入りづらい
- 決定よりも前段階の相談窓口がほしい
- 物件によって思ったよりお金がかかる可能性がみえづらく、開けてみないとわからない、総額がわからないので手を出しづらい
- とくに中山間や田舎地域だと、地域の実情が見えづらい、わかりづらい
- 地域ごとの細分化された自治会レベルの情報までどうやって手に入れるか、どうやって県外の人に発信するか
- 自治体が発表しているのは空き家単体の情報だけで、片付いていないようなまんまの情報だけだったり、地域の情報などは全然わからない
- 長男問題、家柄問題
- カフェする、コミュニティスペース、ゲストハウス、、、事例はいろいろあるけど、単発イベントやるだけで成功と言えるのか?
こんなのがあるといいなというお話は、以下のようなものが出ておりました。
- ヨーロッパで標準となっているような、住宅性能表示、断熱や燃費の表示があると買いやすい
- 第三者機関によるグレード表示などをサイトで表示したりできないか
- 中心市街地であれば、遊び場とか子ども塾など、地域に開かれた用途も可能性があるのでは
- 地方創生の交付金などうまく使えないか
- 自治体が先陣きってなにかやるとたいてい失敗するので、コミュニティが先導するのは良いと思う
- お試しでトライアル的に住んで地域に入ってみるような仕組みがあるといい
- 北陸の事例だと、空き家物件を自治体が借り上げて、お試しで住んでもらって、よかったらそのまま住んでもらったり
- 空き家をもっている所有者にとっての成功といえる事例を増やしていくことが大切なのではないか
- 空き家をもっている所有者にどうアプローチするか、ケア施設や病院などと一緒に活動するといいのではないか
- 高齢者問題や孤独死などは、テクノロジー(センサーなど?)で対策できるのでは
- 仮想旅行みたいなかたちで、空き家を疑似体験するようなことがVRとかでできるのでは
- マッチングアプリ
- いろんな関係者、地域・建築・行政書士などをコーディネートしてくれるような、案内人みたいなのがあるといい
- 地域で活用したいというニーズのためには、売り手と買い手のマッチングだけではなく用途や機能などで細分化した機能があるといい
これらの課題は、このコミュニティにとっての貴重な財産です。
今後、「出雲国の空き家テック」の活動の指針として大きな支えになっていくと思います。
コミュニティ・キックオフ
最後に、コミュニティを推進していってやろうと言うメンバーが残り、キックオフミーティングが開催されました。
マッチングアプリや、行政・自治体との連携方法、不動産業者との関わりのお話などについて、多少深堀りした内容を議論しました。
とはいえ、なにしろスタートしたばかり。まずはまだまだ顔合わせと課題出しからだと思っています。
このコミュニティの最大の目的は「仲間づくりのためのオープンな場づくり」です。
空き家について意識をもって行動されている方がこれほど沢山いること、おそらくみなさん驚かれたのではないでしょうか。
その個人や団体がさらに横軸でつながっていけば、どれほどの力になるのか、想像もつかないことです。
そのために、このコミュニティが役立つとすれば、これほどの喜びはありません。
今回、[建築][不動産][各地域町おこし団体][IT業界][ドクター]等々…職種、目的も様々な[20代から60代〜までの老若男女]が[会場リアル参加]に[オンライン参加]も加わって、全員が同じ温度、音を共有できたイベントでした。
どんな人でも、空き家に興味を持つ方なら大歓迎。フラットで、忖度もしがらみもないこのコミュニティへ、ぜひ遊びに来てください。